常識を疑えシリーズ

常識を疑え5 ~移乗介助で股の間に足を入れる?入れない?~

投稿日:2016年11月29日 更新日:

 

さて今回は「常識を疑え」シリーズの第5弾。ここまで、介護の「常識」と呼ばれるものについて、ちょっと違った角度から論じてきた。賛否両論あるとは思うが、このホームページを機に「介護」という仕事の楽しさが広まり、この仕事を目指す若い人が増えてくれたらいいなぁと思っている。

今回は「移乗介助での正しい足の位置は何処か」を考えてみよう。お暇があればご一読を…。

 

Yahoo○○袋より

<質問> 「職場で意見が分かれています。移乗介助で相手の股の間に自分の足を入れるのは駄目なのか教えて下さい」

さて、皆さんならどう答えるだろうか。インターネット上の「回答」を見てみると、意見が分かれているようだ。ケースバイケースという答えが一番多いかも知れない。私も理学療法士という職業柄、このような質問を良く受けるのだが、「対象者によって違う」と答えることが多い。

しかしこれでは余りにも漠然過ぎて、介護の初心者に説明が付かないので、詳しく調べてみた結果をご報告したいと思う。

 

移乗介助で股の間に足を入れる
【4コマ漫画】老人ホーム日記

 

 

「介護福祉士」のテキストは…

国家資格である「介護福祉士」のテキストを見れば、答えが書いてあると思い調べてみた。「全介助の介助方法」として紹介されている項目を読んでみたが、結論から言えば「統一見解がない」との解釈に至った。

➀新介護福祉士養成講座(生活支援技術II、第3版、2014、中央法規)より

➁介護福祉士実務者研修テキスト(第2巻、2015、中央法規)より

 

 

 

 

 

 

実際に働いている人の意見は…

「足を入れる」派と「足を入れない」派の意見を、インターネット上から集めてみた。

足を入れる派

◎足を入れて体を近づけることで自分と相手の重心位置が近くなり、運動学的に最も楽に行なえる方法だからです。
◎両足を広げられるので、基底面がしっかりするので、重たい方や背の高い方の場合、やり易いのは事実です。

 

足を入れない派

◎人間の股間に足を入れるのはセクハラ・人権無視に値する。
◎人権を無視しているので、試験でこれをやると一発で落ちる。
◎実技免除のために行われる介護技術講習では、利用者の足の間に入れ、くるっと回すやり方はNGと言われました。
◎その介助方法は過去の方法だよ。
◎両足の間に足を入れないで自分の膝で相手の膝をロックしながら行なっています。
◎自分と相手が近付き過ぎると、立ち上がりの際に必要な体の前屈に伴う重心の前方移動が妨げられてしまいます。
◎足を入れると、狭くなってフットレストに接触してしまう。

 

 

その他書籍や各メディアの意見は…

足を入れている例

-例1-

参考;「プロに学ぶ○○○○」(YOUTUBE動画より)

-例2-

参考;動画で分かる…(看護師教材より)

-例3-

参考;K介護技術(書籍より)

-例4-

参考;Y介護技術(書籍より)

 

 

足を入れていない例

-例5-

参考;Y移動のしかた(書籍より)

-例6-

参考;S介助(書籍より)

-例7-

参考;G介護テクニック(書籍より)

-例8-

参考;Sキネステティック(書籍より)

注意

著作権の関係から、上記イラストはイメージ図として作成。

 

 

 

結論

書籍やメディアなどからも、統一された見解を見つけることは出来なかった。ここで、最初に紹介した「介護福祉士テキスト」の中に書かれている文章を再確認してみると、以下のような記述を見つけることが出来た。

①新・介護福祉士養成講座より
膝で利用者の患側を保護しながら…」

②介護福祉士実務者研修テキストより
「介護職の膝で相手の膝を押さえ…」

どうやら相手の膝自分の膝コントロールする事が重要視されているようだ。

 

そこで今回のテーマの結論は以下のようにしてみた。これが正解とは言えないが、現時点での一応の結論とさせていただきたいと思う。

一応の結論

○相手の膝が内側へ倒れそうなら自分の膝を中へ…

○相手の膝が外側へ倒れそうなら自分の膝を外へ…

○相手の膝が膝折れしそうなら自分の膝で相手の膝を押さえて、若しくは自分の両膝で相手の膝を挟んで…

 

さて、最初の質問をもう一度読み返してみよう。「相手の股の間に自分の足を入れたら駄目なんですか…?」。この質問に対して、あなたならどう答えるだろう。「ケースバイケース」という返答は、当然無しで。

 

 

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