【常識を疑え12】なぜ階段は「行きと帰りで足順が違う」のか?リハビリ職が教える「倒れないための物理学」

「階段を登る時は、良い方の足から」
「降りる時は、悪い方の足から」

リハビリ現場で必ず教わるこのルール。「登る時も降りる時も、良い方の足から動かした方が力が入って安全じゃないの?」と疑問に思ったことはないだろうか。

実はこれ、根性論でもマナーでもなく、「自分の体重をどこで支えるか」というシビアな物理学に基づいている。

降りる時、なぜ「悪い方の足」が先なのか?

一番の疑問はここではないだろうか。不安定な足を先に宙に浮かせるなんて恐くないかと。

そもそも、何で階段昇降の「足の出し方」に決まりがあるのか。先ずは階段を降りる動作から考えてみよう。

「良い方の足」を先に降ろす場合

一段下のステップに足を届かせるまで、上の段に残っている「悪い方の足」だけで、全体重を支えなければならない。膝がガクッと折れてしまい、転落する危険が非常に高いのだ。

階段を降りる(健側から)
階段を健側から降りて患側が膝折れ

「悪い方の足」を先に降ろす場合

一段下へ足を出す間、上の段では「良い方の足」がしっかりと全体重を支えてくれている。良い方の足で、ゆっくりとブレーキをかけながら降ろせるので、実はこの方が圧倒的に安全なのだ。

 

登る時、なぜ「良い方の足」が先なのか?

今度は逆に、なぜ登る時は「良い方の足」を先に出すのか考えてみたい。

「悪い方の足」を先に出す場合

一段上のステップに足を届かせるのは、悪い方の足でもなんとか可能かもしれない。しかし上の段にある「悪い方の足」だけで全体重を持ち上げるのは一苦労だ。膝がガクッと折れてしまい、転んでしまう危険が伴う。

階段を患側から登って膝折れ

「良い方の足」を先に出す場合

段差を一段登るには、自分の体重をグイッと持ち上げる「強い筋力」が必要だ。良い方の足を先に出すことにより、その強力な筋肉を使って自分の身体を引き上げることが出来る。悪い方の足は、後からついてくるだけで済むのだ。

まとめ

この複雑な足順を覚えるための、リハビリ現場でよく使われる有名なフレーズがある。

行きはよいよい、帰りはこわい

行きは良い方の足から。
帰りは悪い方の足から。

常に、良い方の足が一番負荷のかかる瞬間を担当するようにすること。一見、複雑に見えるルールだが、倒れないために考え抜かれた究極の安全策なのだ。 

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