皆さんは「介助バー(L字柵)」を単なる「立ち上がる為の手すり」だと思っていないだろうか。
実は、介助バーの本当の役割は、立ち上がりを助けることだけではない。移乗時の致命的なリスクである
「身体のねじれ」を防ぎ、安全な着座を誘導することにある。
今回は、物理的な視点から「なぜ介助バーが必要なのか」を紐解いてみたい。

介助バーが無いときに起こっていること
身体が硬く、足のステップが難しいAさんの移乗動作を例に考えてみる。ベッド柵(ベッドと平行な柵)だけを頼りに移乗しようとしている。


頭とお尻の「矛盾」
ベッド柵をつかんで前かがみになると、頭はベッドに近づく。しかし当然ながら「頭がベッドへ向かうほど、お尻はベッドから遠ざかる(外へ逃げる)」という動きになる。

するとどうするか。逃げていくお尻を無理やりベッドに乗せようとして、上半身を無理に回旋させようとする。しかし上半身は回っても、足は床に固定されたまま。ここで「足のねじれ」が発生する。
お尻が届かずに、ずり落ちるというリスクも生む。





恐ろしい「ねじれ骨折」のリスク
足が床に固定されたまま体幹を強くねじると、下腿(すね)や大腿骨に強い回転力が加わる。高齢者の脆くなった骨にとって、このねじれは非常に危険である。
転倒しなくても、座った瞬間にねじれに伴う骨や筋を痛めるリスクが生じる。いわゆる「いつの間にか骨折」ならぬ、「ねじれによる骨損傷」を引き起こす可能性があるのだ。

(引用 ttp://homepage3.nifty.com/MYKAIGO)


介助バーで「支点」を変える
かつて介助バーが無かった頃、現場の工夫として「ベッド横に椅子を置く」という手法があった。ベッドから突き出した椅子(支点)をつかむことで、頭がベッドから離れ、代わりにお尻がベッド方向へ誘導されるようになる。


この椅子の役割をスマートに実現したのが、介助バーなのである。介助バーがあることで、
- 自然な回転;
無理にねじらなくても、お尻がベッドに近づく。 - 足の保護;
最小限のステップ動作(またはねじれ)で着座位置に到達できる。

まとめ
「予算がないから普通の柵で代用する」という判断が、結果として骨折事故や介護負担の増大を招くかもしれない。介助バーは単なるぜいたく品ではなく、「身体の物理的な動きを正常化するための不可欠なツール」なのである。
利用者様の動きを見たとき、「頭とお尻、どちらを向いているか?」を観察してみてほしい。そこに介助バーを導入すべき明確な答えが隠されているはずである。








