【常識を疑え3】なぜ介助バーを使うべきなのか?ベッド移乗の「ねじれ」が事故を招く

皆さんは「介助バー(L字柵)」を単なる「立ち上がる為の手すり」だと思っていないだろうか。

実は、介助バーの本当の役割は、立ち上がりを助けることだけではない。移乗時の致命的なリスクである
「身体のねじれ」を防ぎ、安全な着座を誘導することにある。

今回は、物理的な視点から「なぜ介助バーが必要なのか」を紐解いてみたい。

介助バー、L字バー、移乗バー

介助バーが無いときに起こっていること

身体が硬く、足のステップが難しいAさんの移乗動作を例に考えてみる。ベッド柵(ベッドと平行な柵)だけを頼りに移乗しようとしている。

頭とお尻の「矛盾」

ベッド柵をつかんで前かがみになると、頭はベッドに近づく。しかし当然ながら「頭がベッドへ向かうほど、お尻はベッドから遠ざかる(外へ逃げる)」という動きになる。

するとどうするか。逃げていくお尻を無理やりベッドに乗せようとして、上半身を無理に回旋させようとする。しかし上半身は回っても、足は床に固定されたまま。ここで「足のねじれ」が発生する。

お尻が届かずに、ずり落ちるというリスクも生む。

恐ろしい「ねじれ骨折」のリスク

足が床に固定されたまま体幹を強くねじると、下腿(すね)や大腿骨に強い回転力が加わる。高齢者の脆くなった骨にとって、このねじれは非常に危険である。

転倒しなくても、座った瞬間にねじれに伴う骨や筋を痛めるリスクが生じる。いわゆる「いつの間にか骨折」ならぬ、「ねじれによる骨損傷」を引き起こす可能性があるのだ。


(引用 ttp://homepage3.nifty.com/MYKAIGO)

 

介助バーで「支点」を変える

かつて介助バーが無かった頃、現場の工夫として「ベッド横に椅子を置く」という手法があった。ベッドから突き出した椅子(支点)をつかむことで、頭がベッドから離れ、代わりにお尻がベッド方向へ誘導されるようになる。

 

この椅子の役割をスマートに実現したのが、介助バーなのである。介助バーがあることで、

  • 自然な回転
    無理にねじらなくても、お尻がベッドに近づく。
  • 足の保護
    最小限のステップ動作(またはねじれ)で着座位置に到達できる。

まとめ

「予算がないから普通の柵で代用する」という判断が、結果として骨折事故や介護負担の増大を招くかもしれない。介助バーは単なるぜいたく品ではなく、「身体の物理的な動きを正常化するための不可欠なツール」なのである。

利用者様の動きを見たとき、「頭とお尻、どちらを向いているか?」を観察してみてほしい。そこに介助バーを導入すべき明確な答えが隠されているはずである。

【10の裏カルテ】介護業界10のタブー

  ~ナースコール隠し、性の抑圧、寝たきりの存在意義~

理学療法士H
理学療法士。典型的なB型気質、一匹狼で徒党を組むのが大嫌い。他人の悩みや相談事を自分の事のように取り込んでしまい、体調が悪くなるのが欠点。趣味は、この世の人間関係の仕組みを解明すること。
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