着替えの介助をしているとき、「あれっ、どっちの腕から通すのが正解だったかな?」と迷うことはないだろうか。
教科書には「脱健着患(だっけんちゃっかん)」なんて難しい言葉が載っているが、そんな呪文を覚えなくても大丈夫。大切なのは、言葉を覚えることでなく「服のゆとり」を見ること。
これさえ分かれば、もう迷わないし、何よりご本人が「痛くない」着替えができるようになる。
着る時は「悪い方の腕」から
①袖口を確認する

②袖口に悪い方の腕を通す

③悪い方の肩へ通す

④良い方へ服を引っ張る

⑤袖口に良い方の腕を通す

⑥良く出来ました

「良い方の腕」から着たらダメなのか?
それでは、教科書に逆らって「良い方の腕」から服を着たらどうなるのか。
①袖口を確認する

②良い方の腕を通すのだが、片手で通すのはなかなか大変。

③手を通したら、良い方の肩まで引き上げる

④悪い方の肩を覆う。

⑤ここまでか…。悪い方の腕を袖に通すことは、とても難しいのだ。

良い方の腕から着ると「ゆとり」が無くなる
イメージしてみよう。
先にスルスルと良い方の腕を袖に通してまうと、服が体に固定されてピチピチになってしまう。その状態で、反対側の悪い方の腕を袖に通そうとすると…
・「うっ、腕が上がらない!」
・「無理に引っ張られて痛い!」
と、ご本人に大きな負担がかかってしまう。服に「遊び(ゆとり)」が無いので、無理やり腕をねじ込まなければならなくなるからだ。

合言葉は「ゆとりがあるうちに難所を通す」
着替えをスムーズにするコツは、とってもシンプルだ。
「まだ服がどこにも引っかかっていない、
ゆとりがたっぷりの状態」
この状態で、一番大変な「悪い方の腕」を先に通してしまうこと。これだけ。最初に難所をクリアしてしまえば残った「良い方の腕」は、ご本人が自分で通すこともできるし、介助する側もサッと通すだけで済む。
脱ぐときは「良い方の腕」から
①良い方の肩の襟をつかむ

②良い方の肩を脱ぐ

③良い方の上肢を脱ぐ

④悪い方の肩を脱ぐ

⑤悪い方の腕を脱ぐ

「悪い方の腕」から脱いだらダメなのか?
①悪い方の肩を脱ぐ

②ここまでか…。

脱ぐときはスペースを作ってから
脱ぐときは、先に「良い方の腕」から抜く。なぜなら、良い方を先に抜くことで、服の中に大きな「スペース(隙間)」が生まれるからだ。
ガバッと余裕ができたところで、最後に動かしにくい方の腕をそっと抜いてあげる。これなら関節を無理にひねる必要もない。
まとめ
「脱健着患」という言葉を忘れてしまっても、目の前の服を見て「今、ゆとりはあるかな?」と確認してほしい。
- 着るとき;
ゆとりがあるうちに、悪い方の腕から。 - 脱ぐとき;
良い方の腕から脱いで、ゆとりを作ってあげる。
この「ゆとりの法則」を意識するだけで、毎日の着替えが「痛くてつらい時間」から「安心できる時間」に変わるはずだ。
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