【訪問リハから介護を考える(2)】ナースコールは鳴っているのではない。「無能な自分」を告発しているのだ

訪問看護の事務所で、あるいは介護施設の夜勤の詰所で、突然空気を切り裂くあの電子音。その瞬間、喉の奥は砂漠のように乾き、心臓が肋骨を突き破らんばかりに暴れ出す。

「もし、自分の対応一つで取り返しのつかない事態を招いたら?」「もし、受話器の向こうが怒号に満ちていたら?」

受話器、あるいはナースコールに手を伸ばすまでのわずか数秒、私たちの脳内では最悪のシミュレーションが100通りも駆け巡る。

電話を受けるときが一番緊張する
いよいよ電話を受ける時が来た
緊張して自己紹介してしまった
家に帰って電話を受ける練習をする理学療法士Hであった

呼び出し音は「自分の名前」を呼んでいる

本来、ナースコールはただの物理的な信号だ。だが、余裕のない新人にとって、あの音は次第に「言葉」を持ち始める。音の中に、「お前に何ができるんだ?」という冷徹な問いかけを聴き取ってしまうのだ。

「ほら、お前の出番だぞ」「早く来い、無能め」「化けの皮を剥いでやる」

そう聞こえ始めた瞬間、あなたの心は現場に充満する「毒」に、じわりと侵食され始めている。

「ナースコールを隠す人」へと堕ちる予兆

私はかつて、「ナースコールを隠す人、それを見て震える人」という記事を書いた。あの時、禁忌に手を染めた職員たちも、かつては今のあなたと同じように、あの音におびえ、震えていたはずなのだ。

彼らは、音への恐怖を正しく処理できず、心がホワイトアウトした果てに、ボタンを隠すという歪んだ「自己防衛」を選んでしまった。そう考えると、今あなたが感じている「逃げ出したいほどの恐怖」は、まだあなたの心が死んでいない証拠だ。人間らしい倫理観が、正常に機能している証なのである。

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震える指先で「境界」を越える

しどろもどろになりながら対応を終え、受話器を置く。居室へ向かい、震える手でケアを完遂する。誰もいない夜勤の廊下で、深く息を吐く。

そのあとの、全身から力が抜けるような、情けないほどの安堵感…。

実は、この「恐怖」と「安堵」の反復こそが、あなたを「生身の人間」から「プロの表現者」へと作り替えていくのだ。

あの日の震える手。あの日の冷や汗。それは、あなたが現場の闇に立ち向かうための「通過儀礼」だ。音が鳴るたびに跳ね上がる鼓動は、あなたが「命」を預かる現場に立っている、何よりの勲章なのである。

鳴り響く音におびえる自分を、どうか恥じないでほしい。その恐怖こそが、いつか誰かの絶望を照らす「灯火」へと変わるための、大切な種火なのだから。

さあ、この理不尽な介護現場に飛び立とう…
人間関係のブラックホール(全九章)

*ショッキングな内容が含まれます

理学療法士H
理学療法士。典型的なB型気質、一匹狼で徒党を組むのが大嫌い。他人の悩みや相談事を自分の事のように取り込んでしまい、体調が悪くなるのが欠点。趣味は、この世の人間関係の仕組みを解明すること。
当ホームページは、リハビリ脳を鍛えるためのサイトである。「リハビリ脳=日々の生活をリハビリ的視点で捉える事」と定義している。身体機能のリハビリのみならず、揺れ動く心のリハビリにも焦点を当てて考察している。
キネシオロジーと波動療法の専門店「こころのて整体院」を運営し、心と身体の癒しの場を提供している。
こころのて整体院
自立神経専門
管理者が運営する「心と身体の流れを整える」整体院です。病院では異常がないと言われた体調不良や、慢性的な疲れ、人間関係のストレスなど、心と身体のバランスが崩れることで起こる不調のご相談を多くいただいています。
当院ではキネシオロジーを用いて無意識の影響を確認し、波動療法で身体の状態を整えながら、占術(九星気学×易経)などの助言を得ることで、これからの人生の選択についてもサポートしています。
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