老健の理学療法士が「介護とリハビリ」について考えます。

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技術論

深部感覚 ~見えないものが診える不思議~

投稿日:2016年11月29日 更新日:

今朝、靴が履けなくなりました…!?

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上の真っ黒い写真は間違いではなく、暗闇の中の自宅玄関写真です。いつも、朝暗いうちに家を出るのですが、家族を起こさないように電気を付けずに玄関で靴を履きます。しかし、写真のとおり流石に真っ暗過ぎて、このままでは靴が履けません。そこで0.5秒 ! …下写真のように一瞬だけ電気を「付けて」「消し」ます。

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今度は先程とは違い、真っ暗ながらも靴の位置が頭の中に残像として残っているので、その残像に向かって足を伸ばし靴を履いています。この一連の動作が、自分の毎朝の日課になっていました。
それが最近、靴に足が一回で入らなくなってしまったんです。暗闇の中、爪先で靴の入口を探索するようになってしまいました。頭の中の残存イメージがぼやけて、足先の位置を司る感覚がズレてしまったようです…。

そこで今回、靴が履けなくなった件に絡めて「深部感覚」のお話をしてみましょう。
ちょうど今は「秋の運動会」の季節ですね。運動会のクライマックス、晴れのリレーの舞台で、お父さんが見事に転ぶのを目にします。なぜ転ぶのでしょうか…。お父さんの頭の中には、かつて若かりし頃の颯爽と走り抜けていた自分の残像が鮮明に残っています。しかし現実は厳しいもの。気持ちだけは前に進むのですが、肝心の足が付いてこない…。
年を重ねていくと、筋力の衰えと共に転びやすくなります。しかし、転ぶ原因は筋力の低下だけではありません。例えば階段などではしっかり足を上げて登る事が出来ても、敷居やカーペットなど、たった数cmの段差につまずきます。

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さて、ここでひとつ実演をしてみましょう。座って目を閉じて下さい。この時、自分の膝や足首がどれくらいの角度で曲がっているのかが分かりますか。目で確認していないのに、どうして分かるのでしょう。
実は、人間には「深部感覚」という機能が備わっています。固有受容器という関節の位置を把握する受容器が、関節の伸び具合や曲がり具合を脳へ伝達してくれているんです。だから目を閉じていても、曲がっている関節の角度が分かるんですね。この感覚が衰えると、つまずいて転びます。自分では足を上げたつもりが、深部感覚のズレにより、実際には上がっていなかったんです。お父さんは一生懸命に足を動かしていたつもりだったのですが、それは頭の中のイメージだけであって、実際は空回りしていた訳です。


 

そこで、今回はこの「深部感覚」のテスト方法をご紹介しましょう。以下のテストは、目を閉じて行ないます。視覚のフィードバックを遮断することで、各関節からの位置情報が、脳へ正確に伝達出来ているかを評価するテストです。

<指指テスト>
目を閉じましょう。両手を横に大きく広げ人差し指を立てます。そして人差し指同士をくっつけてみましょう。くっつかなかったら、深部感覚が鈍麻している可能性があります。

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<親指つかみテスト>
目を閉じましょう。片手の親指を立て、反対側の手でつかんでみましょう。つかめなかったり、つかむ位置がズレたりしたら、深部感覚が鈍麻している可能性があります。

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<ロンベルグテスト>
両足を閉じて立ちます。その状態で10秒間、目を閉じてみましょう。目を開けていた時よりも、ふらつきが増えたら、深部感覚が鈍麻している可能性があります。

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さて、今朝の出来事はショックでしたが、靴が履けなくなった自分を情けなく感じつつも、老いを受け入れていく準備も必要なんだろうなぁと感じるお年頃です。形あるものはいずれ壊れ、形のないものもその在り方を変えていきます。「諸行無常」の境地ですかね…。

 

 


 

 

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