中間管理職という立場になった途端、あなたの心には、上下から全く質の違う「強い言葉」が飛び込んでくるようになる。
上司からは、現場を知らない冷たい「理想論」や「数字」。現場からは、余裕のない職員たちの「不満」や「怒り」。
もしあなたが、これらをすべて「自分の素直な心」で受け止めて、真正面から答えようとしたら、あなたの心はいくつあっても足りない。
最後には疲れ果て、お局さんのように心を閉ざすか、自分が壊れてしまうだろう。
あなたは「味付け」を変える料理人
リーダーの仕事は、上の言葉をそのまま下に伝えることではない。それは単なる「伝言板」である。
あなたは、上から届く「素材」を、現場が食べやすいように調理する「料理人(フィルター)」にならなければならない。
- 上からの「激辛な命令」;
「残業を減らせ!」という刺激の強い言葉を、そのまま現場に投げれば、みんなの心は火傷してしまう。あなたはそこに「みんなの体調を守るため」という甘みを足して、飲み込みやすい形に変えて伝えるのだ。 - 下からの「ドロドロの不満」;
現場の「もう無理!」「あの人が嫌い!」という生々しい不満を、そのまま上に報告しても、上司は「わがままだ」と切り捨てるだけである。あなたはそれを「人員不足による事故のリスク」という、上司が理解できる言葉に「ろ過」して報告するのだ。
「自分の心」を通り道にしない
一番大切なのは、これらの言葉を自分の心に染み込ませないことである。
イメージしてみよう。あなたは、上と下の間に立っている「高性能なフィルター」だ。言葉という液体があなたを通り抜けていくが、あなたはただその「形」や「味」を変えるだけで、あなた自身がその液体に濡れる必要はない。
「上はこう言っているけれど、それは私個人への攻撃ではない」
そうやって一歩引いて、淡々と「翻訳作業」に徹すること。それは冷たいことではなく、あなたが笑顔で現場に立ち続けるための、最高の「プロの技術」なのだ。
完璧な「いい人」をあきらめる
リーダーが一番苦しくなるのは、「上からも下からも、いい人だと思われたい」と願うときである。だが、相反する二つの声を同時に満たすのは、物理的に不可能だ。
あなたは、みんなに好かれる「お母さん」ではなく、現場という船が沈まないように調整する「冷静な航海士」であってほしい。
時には「上の言葉を適当に聞き流す」ことも、時には「現場の不満をクールに数字で処理する」ことも、チームを救うための立派な仕事なのである。
結論
リーダーよ、一人で抱え込まないでほしい。あなたが苦しいのは、あなたが未熟だからではなく、「優しすぎて、全部をまともに聞き過ぎているから」である。
今日から、職場の門をくぐったら、「ろ過(フィルター)」の仮面をかぶろう。感情をぶつけ合うのではなく、ただ言葉を変換する。
あなたが「いい意味で冷たく」立ち振る舞うことが、結果として一番長く、現場と職員を守ることにつながるのだから。
【第4章】リーダーの役目は「高性能なフィルター」|板挟みで爆発する前に「いい人」を卒業せよ