究極の防壁と、独立したターミナル
「すべてを理解し、すべてを受け流す。辿り着いたのは、どんなエラーを打ち込まれても完璧な『笑顔(UI)』だけを返す、完全に空洞化されたターミナル(端末)である」
摩耗と罪悪感すらも乗り越え、何十年という歳月をこの泥濘の中で生き抜いてきた一匹狼のプロフェッショナルが、最後に辿り着く場所。 それは、いかなるネットワーク(関係性)にも属さない、完全に独立したターミナル(端末)としての存在である。
彼らは、もはや無理に共感しようとも、罪悪感に苛まれることもない。 患者がどれほど理不尽なエラーを吐き出そうと、家族がどれほど無理な要求を突きつけてこようと、観測者の内面にはさざ波一つ立たない。対象者の絶望すらも、重力や摩擦と同じ「ただの物理現象」として冷徹に処理する。
そして、その絶対的な空洞(無関心)の表面には、誰もが安らぎを覚えるような、完璧で穏やかな「笑顔(ユーザーインターフェース)」だけが貼り付けられている。
誰の感情にも同期せず、誰の痛みも背負わない。 この絶望的な現場を、誰にも依存せず「個」として生き抜くために。観測者が自らの人間性を削り落とし、最後に構築した最も悲しく、最も強靭な絶対防壁。 今日も観測者は、完璧な笑顔のまま、無言で対象者の肉体に触れ続けている。
(完)








