【利用者のまなざし・第八の毒】介護現場の笑顔より大切なもの|利用者が信じているのは「迷いのなさ」という強さ

「利用者さんに心を開いてもらえない」「いつも拒否されてしまう」。

そう悩む新人さんは、もっと笑顔で、もっと優しく接しようと努力する。しかし残念ながら、あなたの「必死の笑顔」は、逆効果になっているかもしれない。

なぜなら、重い障害や老いを抱え、自分の身体を自由に動かせない利用者にとって、一番恐ろしく感じているのは「次に何が起こるか分からない不安」だからである。

彼らが求めているのは、あなたの「愛」ではなく、あなたの「予測可能性」なのだ。

「揺れる心」は、介助の「ノイズ」になる

あなたが「怒られたらどうしよう」「上手くできるかな」と不安に思いながら介助するとき、その心の揺れは微細な振動となって、あなたの指先から相手の筋肉に伝わる。

すると利用者は、皮膚から伝わるそのノイズにこう反応する。「この子の手、震えている。私の身体、落とされるかもしれない」と。

不安を感じた利用者の身体は、防御反応でギュッと硬くなる。これが「筋緊張」であり、介助を難しくし、お互いを疲れさせる悪循環の始まりとなる。

あなたの「生身の感情」が現場に漏れ出すことは、利用者にとっては「ノイズ(雑音)」でしかないのだ。

プロの介護職が提供する、極上の安心感

一方で、介護のプロは絶対に迷わない。相手の暴言に一喜一憂して、動きを止めたりもしない。決まった手順で、決まったスピードで、決まった圧を掛ける。

その無機質で、圧倒的な安定感に触れたとき、利用者は「あ、次はこう動くんだな。いつも通りだ」と安らぎを覚える。この「いつも通り」という予測可能性を与えることこそが、身体の自由を奪われた人間に対する、最大の癒しなのである。

「好かれよう」とする傲慢を捨て、無色透明になれ

新人さんは、「私を好きになってほしい」と願う。しかしそれはある意味、利用者に「私を評価して」と強いているようなものであり、自分勝手な願い(エゴ)に過ぎない。

本当のプロは、現場で「無色透明」になる。自分の存在を消し、ただ相手の身体が動きたい方向へサポートする「環境」の一部になるのだ。

鏡の前で作り笑いの練習をする暇があるなら、介助の「手順」を0.1秒の狂いもなく再現する練習をしろ。

「何を考えているか分からないけど、絶対に失敗しない無口なプロ」になったとき、利用者さんは初めて、心からのリラックスを得て、その重い身体をあなたに預けてくれるようになる。あなたの笑顔で、利用者の身体は軽くならないのだ。

結論:暗闇の中に「物理法則」を打ち立てろ

信頼関係とは、魔法のように一瞬で築けるものではない。

「この人は、明日も、明後日も、同じように私の身体を安全に扱ってくれる」という、物理的な予測の積み重ねこそが、信頼の正体なのである。

あなたが自分の感情を殺し、プロとしての「安定の動き」を保ち続けること。それは、利用者の不安という重みを打ち消し、先の見えない暗闇の中に「安心」という名の物理法則を打ち立てる行為だ。これは、介護職にしかできない、最も崇高で知的な戦いなのである。

【10の裏カルテ】介護業界10のタブー

  ~ナースコール隠し、性の抑圧、寝たきりの存在意義~

理学療法士H
理学療法士。典型的なB型気質、一匹狼で徒党を組むのが大嫌い。他人の悩みや相談事を自分の事のように取り込んでしまい、体調が悪くなるのが欠点。趣味は、この世の人間関係の仕組みを解明すること。
当ホームページは、リハビリ脳を鍛えるためのサイトである。「リハビリ脳=日々の生活をリハビリ的視点で捉える事」と定義している。身体機能のリハビリのみならず、揺れ動く心のリハビリにも焦点を当てて考察している。
キネシオロジーと波動療法の専門店「こころのて整体院」を運営し、心と身体の癒しの場を提供している。
こころのて整体院
自立神経専門
管理者が運営する「心と身体の流れを整える」整体院です。病院では異常がないと言われた体調不良や、慢性的な疲れ、人間関係のストレスなど、心と身体のバランスが崩れることで起こる不調のご相談を多くいただいています。
当院ではキネシオロジーを用いて無意識の影響を確認し、波動療法で身体の状態を整えながら、占術(九星気学×易経)などの助言を得ることで、これからの人生の選択についてもサポートしています。
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