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介護技術の骨シリーズ

介護技術の骨(コツ) ~ずっこけ座りになる理由とその修正方法~

 

車椅子に座っていると、どんどんお尻が前へ滑ってしまい、「ずっこけ座り」になっている人を見かける。この座り方は、お尻や背中に剪断応力が加わり「褥瘡」の原因の一つとなる。その他、「関節変形」「疼痛」などを引き起こし、更には「転落」という最悪の事態も想定される。今回は、この「ずっこけ座り」になる理由とその対策、介助方法についてご紹介したい。

 

ズリ落ちる理由

「お尻が滑ってズリ落ちてしまうんです。どうにかなりませんか…」。

ズリ落ちてくる原因は幾つかあるが、大きく分ければこの2つ

ポイント

①自然にズリ落ちる

②自らズリ落ちる

「①自然にズリ落ちる」原因は、姿勢不良や座面の不安定性などが考えられるので、姿勢調整や座面調整を行なう。限られた予算の中で、手作りクッション等で試行錯誤している施設も沢山あると思う。しかし、どんなに上手に調整しても、同じ姿勢で同じ所に圧が掛かり続ければ、痛みが生じると考える。

試しに、以下の実験をしてみよう。

【実験】
5分間、椅子に座ってみましょう。お尻の位置を全く動かさずに…。

映画館や会議など長時間の座位を強いられる場面では、我々は無意識のうちに足を組んだり左右に体を動かして、の掛かる部分を分散させている。お尻を数センチでも動かすことが出来れば、臀部の痛みは大きく変化する。

足を組んでリラックスして座る

つまり「②自らズリ落ちようとする人」は、お尻の圧が掛かる場所を変化させようとしていると考えることができよう。そこでポイントとなるのが「座り直し動作」。筋力があれば、身体を動かして圧をコントロール出来るのだろうが、お尻を動かせない「筋力の弱い人」は、果たしてどうやって改善させようとするのだろうか。

 

 

身体を反らして背もたれを押す

 

上図を見てみよう。実は、身体を反らして背もたれが押されると、その反作用で臀部が前に滑っていく。筋力が弱くて座り直しが出来ない人は、このようにして臀部をコントロールすることがある。「お尻をズッたら危ないでしょ。車椅子から落ちたらどうするの!」という声が聞かれるが、この動きは利用者自らがお尻の痛みを緩和する為に行なっているとも捉えることが出来る訳で、切実な訴えでもある。方法論は間違っているかも知れないが、「痛みを和らげたい」という目的に照らし合わせれば、必然性のある行為だと言えるだろう。

 

 

ネジ巻きの法則

さて、この方法論には大きな欠陥がある。少しずつお尻を滑らせていくのだが、行きつく所まで来ると、そこから戻れなくなってしまうのだ。慌てて職員が引き上げるのだが、これを私は「ネジ巻きの法則」と呼んでいる。

車椅子上、お尻がずっこけて助けを呼ぶ

ネジ巻きのオルゴールが鳴っているうちは、お尻を滑らせていく事が出来るのだが、座面の先端まで来たら行き止まり…。またネジを巻き戻す(座り直す)介助をしなければならない。つまり本人様の動きは一方通行だという事だ。

 


【4コマ漫画】老人ホーム日記

 

 

 

ずり落ち防止クッション

当施設では、ずっこけ座りに対して「ずり落ち防止クッション」なるものを作成し、座面の前側を高くすることで対応している。しかしこのクッション、実は矛盾を感じながら使っている。どうしてかというと、利用者様は「お尻の圧を変化させようとしている」からズッてくる訳で、もしかしてその除圧動作阻害している事になるのかも知れないと(まぁお尻がズッていくのは私のシーティング技術が未熟だからなので、決して大きなことは言えないが…)。

ちなみに、ダイソー商品を使ってこのクッションを作っている。お暇なときに、ご一読を。

 

 

ずっこけ座りを修正する

それでは、具体的な修正方法を見てみよう。基本手技は大丈夫だろうか。

ポイント

①利用者様の体幹を前傾させる
②介助者は後ろから利用者様の両手を保持する
③前傾させながらお尻を後ろへずらす

その他にも「前から抱えて膝を押す方法」や「左右へ体幹を交互に傾けながら行なう方法」などがあるのだが、しかし実際やってみると意外と難しいと感じる事が多い。相手が小柄で軽い人ならばともかく、体重の重い人や身体の大きい人に対しては、上手くいかない事も多々あるのだ。そんな時には次の方法を試してみよう。

 

 

イースター島の方法

応用的な方法をご紹介する。ペヤ・ハルヴォール・ルンデ氏の著書「移動・移乗の知識と技術」から「イースター島の方法」という介助技術である。人間の自然な動作パターンを引き出す介助方法として、有用な方法論であると思う。

 

使うもの


バスタオル若しくはハンドタオル

 

①タオルを利用者様の両足の下に通す。

 

②介助者は後ろからタオルの両端を掴み、利用者様を前傾姿勢にする。

 

③介助者は、利用者様を右に傾け、左のタオルを引く。

 

④介助者は、利用者様を左に傾け、右のタオルを引く。交互に繰り返す。

 

 

車椅子傾斜法

ついでにもう一つ、この方法は、教科書には載っていないかも知れない。実際行なうときには十分練習を積んでから行なうこと。また車椅子を傾けて行なうので、利用者に恐怖感を与える場合がある。十分な説明と同意の下で行なうこと。

①ブレーキをしっかり掛ける。

 

②利用者様を前傾させ、介助者の両上肢を背中に差し込む。

 

③ティッピングレバーを踏み、車椅子の前輪を浮かせる。利用者様の臀部を左右に体重移動させながら、傾斜に沿って後方へ滑らせる。この際ブレーキが甘いと、タイヤが前方に滑って転倒するので、十分注意する事。

 

④車椅子の前輪をゆっくりと下ろす。

 

 

大変なときは…

無理せず2人で。前と後ろから介助しましょう。

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