前回の話しの続きをしよう。
前回は「性善説と性悪説」について述べたのだが、その命題は、
『出来ない新人さんに対し、いつまで指導を続ければ良いのか』であった。
つまり、出来ない職員をクビにするタイミングはいつなのかという事である。
(リンク:性善説と性悪説)
実はこの件には、中間管理職と呼ばれる人が、大きく関わってくる。
中間管理職に、大きなストレスが掛かるのだ。
考えてみよう...。
ある施設では、「リーダー(中間管理職)」がいて、その上に「事務長」が配置されている。
新人さんの能力を判断するのは、直属の上司である「リーダー」の役目となる。
そしてその判断を事務長に報告し、「事務長」が最終的に決断を下す。
さて、新人さんが働き始めた。
最初のうちは、周りのスタッフは新人さんを熱心に教育するだろう。
しかし、段々と出来ない新人さんに腹が立つようになる。
しまいには、出来ないのはリーダーがちゃんと教育しないからだ!と、八つ当たりするようになっていく。
さらに進行すると...
「あんな仕事で自分達と同じ給料なんて許せない!」となり、
「辞めさせろ!異動させろ!」の大合唱となり、
プレッシャーを掛けられたリーダーは、事務長に報告する羽目となるのだ。
そして事務長は、新人さんを呼び出して、こう告げるだろう。
「リーダーから報告があったのだが、君はやる気が無くて仕事が出来ないらしいね」
「申し訳ないけど、異動するか辞めてもらう事になるよ」
一見、1番大変な通告を「事務長」がしているように見えるのだが、
実は、1番心を痛めるのは「リーダー」である。
だって「仕事が出来ない」って判断したのはリーダーなのだから。
そしてある意味、リーダーは事務長に「密告」したとされるのだ...。
するとどうだろう。
新人さんが恨む対象は「事務長」ではなく、
「リーダー」になってしまう事になる。
新人さんは、周りに恨み節を吐きまくるかも知れない。
「あのリーダーは口だけでちっとも仕事してない。相談にも乗ってくれないし心が冷たいよ」
「あの人に相談すると、全部事務長にチクられるから気を付けな!」
根も葉もない噂を広められる恐怖に怯える...。
味方だと思っていた職員も、手の平を返してくる。
現場は慢性的な人手不足なので、辞めさせても次の職員が入ってくるアテはない。
忙しさの余り「辞めさせなければ良かったのに...」なんて文句を言う職員まで出てくる始末だ。
今さら何を言う〜!(怒)
進むも地獄、戻るも地獄。
新人育成における中間管理職の苦悩は、延々と続くのである...。