障害受容とは?4つの段階と心の変化をわかりやすく解説

障害を負った時、人の心には大きな変化が起こる。それまで当たり前に出来ていたことが出来なくなり、将来への不安や喪失感に襲われることも少なくない。

こうした心の変化を説明する考え方が「障害受容過程」である。

この記事では、障害受容の段階と心の変化について、リハビリや介護の現場でよく見られる例を交えながら解説する。まずは、以下の4コマ漫画をどうぞ。

障害受容①

訪問リハビリの利用者様で物が二重に見える障害を負っている
家に閉じこもっているのを心配した孫娘が蛍の鑑賞会に連れて行ってくれた
蛍の光が二重に見えて広がりを見せたため感動
物が二重に見える障害も見方を変えればプラスなんだなあと障害受容のきっかけを掴む
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障害受容とは

障害受容とは、自分の障害を理解し、それを抱えながら生きていく事を受け止めていく過程のことである。障害受容は、一般的に

・ショック期
・否認期
・混乱期
・受容期

の4つの段階で説明される。

障害受容過程

上記は障害受容過程を「4段階」で示しているが、通常は「ショック期→否認期→混乱期→解決への努力期→受容期」の5段階とする事が多い。コーン(1961)の5段階、フィンク(1967)の4段階 、キューブラ・ロス(1969)の5段階、上田の5段階などがある。

①ショック期

障害を負った直後に見られる段階。事故や病気によって突然身体機能を失うと、人は強い衝撃を受ける。この時期には、

・呆然とする
・現実感がない
・何も考えられない

といった状態になることがある。これは、余りに大きな出来事から心を守る為の自然な反応とも言える。

ショック期

②否認期

次に現れることが多いのが否認期である。この段階では、

・自分は障がい者ではない
・そのうち元に戻る
・医者の診断は間違っている

など、現実を受け入れられない気持ちが生まれる。一見すると現実逃避のように見えるかも知れないが、これも心を守るための大切な過程なのだ。

否認期

③混乱期

現実を少しずつ理解し始めると、強い葛藤や苦しみが現れることがある。例えば、

・どうして自分だけが
・将来はどうなるのか
・もう元の生活には戻れない

といった感情である。怒りや悲しみ、絶望などの感情が入り混じり、精神的に非常に不安定な状態になることもある。

混乱期

④受容期

受容期とは、障害を前向きに受け入れるというよりも、障害がある現実を理解し、その中で生活していくことを考え始める段階である。

・出来ないことだけではなく
・出来ることにも目を向ける

こうした変化が、少しずつ見られるようになる。

受容期

ここで4コマ漫画の続きを見てみよう

障害受容②

前回の記事のホタルの鑑賞会により障害受容のきっかけを掴んだCさんはデイサービスに楽しく通いだした
デイサービスで簡単な計算問題が出来ないでいると、向かいの利用者に馬鹿にされた。物が二重に見える障害で問題文が読めなかっただけなのに。ショックでデイサービスに行かなくなってしまった
理学療法士の三好春樹氏によると、障害受容家庭は一方通行でなく可逆的だという。
また家に閉じこもるようになってしまったCさん。否認期に入ってしまったようだ。理学療法士Hの苦悩は続く

障害受容は一直線ではない

障害受容は、教科書のように順序良く進むわけではない。ショック期から否認期、混乱期、受容期へと進むと説明されることが多いが、実際にはその段階を行き来することも珍しくない。

介護・リハビリの現場で長年活動してきた三好春樹氏は、次のように述べている。

障害受容のこれまでの考え方は段階説。「1ショック期」「2否認期」「3混乱期」を経て「4受容期」に至るとされる。しかし私はこれに少し批判的だ。1,2,3を経て4受容期に達しましたという単純な一方的過程ではなく、受容期まで来たなと思われる人が何かのきっかけですぐ否認期になったり混乱期になったりする。つまり全部の心理状態、4つの段階がいつも心の中にある、可逆的であるというふうにみるべきではないかと思う。
(参考;『教師はなぜぼけるのか』筒井書房)

三好春樹のイラスト

受容したように見える人でも、

・病状の変化
・環境の変化
・人間関係

などをきっかけに、再び否認や混乱の状態に戻ることがある。そのため、障害受容は段階を進むものというより、揺れ動く過程として理解する方が現実に近いと言えるだろう。

4コマ漫画のCさんの例

さて、ホタル観賞をきっかけに「受容期」へ至ったと思われたCさん。問題が解けなかった事を馬鹿にされ、また不安定な気持ちに戻ってしまった。

果たしてCさんの心に何が起こっていたのだろうか。

障害受容過程は、やはり「段階説」ではなく、「並列説」で考えるのが分かりやすそうだ。4つの段階がいつも心の中にあって、行ったり来たりを繰り返している。

揺れ動くCさんの心。あれからまた、家に閉じこもってしまった。今は否認期に入っているのだろうか…。

さて、在宅サービスを提供する我々には、Cさんに対して一体何が出来るのだろう。

三好氏は言う。

障害受容って、結局のところ何かというと、諦めでしょう。諦めであり、開き直りであり、そういうことじゃないかという気がするんですね。

このように、障害受容は一度で完了するものではなく、長い時間をかけて続いていく過程なのだ。

まとめ

障害受容とは、障害を抱えながら生きていく現実について、少しずつ理解していく過程である。一般的には、

・ショック期
・否認期
・混乱期
・受容期

という段階で説明されるが、実際にはその間を行き来しながら、心は変化していく。大切なのは、「受容させること」ではなく、その揺れ動く心に寄り添うことなのかも知れない。

さて、障害受容に至るためには、動かない手足とどのように付き合っていくのかが問われることになる。以下の記事をどうぞ。

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理学療法士H
理学療法士。典型的なB型気質、一匹狼で徒党を組むのが大嫌い。他人の悩みや相談事を自分の事のように取り込んでしまい、体調が悪くなるのが欠点。趣味は、この世の人間関係の仕組みを解明すること。
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