【介護の思想9】器の大きい人になりたい!|介護職が”器の大きさ”で消耗する理由

介護職員から、こんな言葉を聞くことがある。

「器の大きい人になりたい」
「心の広い人でいたい」

でも正直に言えば、
そんな余裕がある日はほとんどない。

利用者対応、家族対応、記録、委員会、
さらには急な欠席の穴埋め。

”器”どころか自分の心のスペースすら
確保できない日が続く。

それでも私たちは、
「もっと広い心で接しなきゃ」
と自分を追い込んでしまう。

ではそもそも、
心や器って、どこにあるのだろう?

心は「自分の中」にはない

人はよく、
「心が折れた」「心が強い」と言う。

しかし、その”心”は
いったいどこにあるのだろう。

心臓?
脳?
それとも身体のどこか?

実は、どれもしっくりこない。

障害児教育の名著『どんどん』には、
このように書かれている。

『心は、自分と相手の”あいだ”に生まれるもの』である。


(参考;「どんどん」障害児教育自主教材)

つまり、
心は個人の内部にあるものではなく、
関係性のなかで「芽生える」もの…
という考え方だ。

例えば、
利用者の言葉や家族の態度、
さらには上司や同僚の一言。

その”あいだ”で揺れたり、折れたり、
立ち直ったりする。

だから、
「器を大きくしたい」という願いは、
一人で頑張るだけでは育たない

器を小さくする方法は簡単だ

介護現場で、
自分の器が小さく感じる瞬間は、
だいたい決まっている。

  • 利用者の無茶な要求
  • 家族の理不尽なクレーム
  • 同僚の”気付かないふり”
  • 上司の「とりあえずお願い」

こういうものを受け止めきれない
自分に気付いたとき、
人は自然とネガティブモデルに入る。

ネガティブモデルとは

  • 相手の欠点を探す
  • つい批判したくなる
  • 相手を否定する
  • 相手を小さく扱う

つまり、相手を批判することで、
一時的に自分が優位に立った
ように感じる心の作り方をいう。

しかしその優越感は、
相手をおとしめた結果の
”錯覚”でしかない。

そしてこの方法には
大きな問題がある。

相手を傷つけ、関係が壊れる

批判で得た優越感は長続きしない。
関係は閉じ、心は荒れ、孤独が深まる。

実は、自分の小ささを露呈している

人は自分の器からはみ出した部分を
見ると不快になる。
だから欠点ばかりを見つけるようになる。
それはつまり、自分の器の小ささを
露呈しているようなものなのである。

器を大きくする方法は、意外と地味だ

では、どうすれば器は広がるのか。

答えは派手ではない。
むしろ地味だ。それは、

相手の良いところを一つだけ拾うこと。

これがポジティブモデルとなる。
介護の現場で「ほめる」というと、
「そんな余裕はない」と思うかもしれない。

だが、ほめるとは、
相手を持ち上げる行為ではなく、
自分の視野を広げる行為だ。

  • いつも静かに仕事をしている同僚
  • ありがとうと言ってくれた利用者
  • 昨日より少しだけ落ち着いている人
  • さり気なく助けてくれた誰か

こういう「ささいな気付き」を拾い、
”ほめる”を具体的に実践すると、
自分の器の内側が、少しだけ広がる。

そして、

  • ほめられた相手は変わる
  • ほめた自分も変わる

このような関係性の中で、
器は育っていく。

介護職の器は「一人では育たない」

介護の現場は、
人の感情と人の生活が
むき出しでぶつかる場所だ。

だからこそ、
器や心の広さは、
孤独な努力では作れない。

  • 利用者との関係
  • 同僚との関係
  • 家族との関係
  • チームの空気

その”あいだ”で、
器は削られたり、広がったりしながら
育っていく。

あなたが誰かを包み込むとき、
その器の中で、
相手もあなたも少しずつ変わっていく。

最後に

介護の現場で器が大きい人とは、
「いつも優しい人」ではない。

関係性の中で揺れながらも、
自分の器を少しずつ広げようとする人。

その方法論が”ほめる”という技術なのである。

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理学療法士H
理学療法士。典型的なB型気質、一匹狼で徒党を組むのが大嫌い。他人の悩みや相談事を自分の事のように取り込んでしまい、体調が悪くなるのが欠点。趣味は、この世の人間関係の仕組みを解明すること。
当ホームページは、リハビリ脳を鍛えるためのサイトである。「リハビリ脳=日々の生活をリハビリ的視点で捉える事」と定義している。身体機能のリハビリのみならず、揺れ動く心のリハビリにも焦点を当てて考察している。
キネシオロジーと波動療法の専門店「こころのて整体院」を運営し、心と身体の癒しの場を提供している。
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