下肢装具は履かせるだけではダメな理由|かかとが全てを決める

「なんか歩きにくそう…」

介護施設では、下肢装具を使用している人を多く見かける。装具は足首を安定させ、歩行を助ける役割を持っている。

しかし現場ではよくこんな場面を見かける。装具を履いているのに、なんか歩きにくそう…。

下肢装具は、「ただ履かせるだけではダメ」な理由を考えてみたい。

下肢装具の写真

装具は「ただ履かせる」ものではない

施設で下肢装具の着脱介助を見ていると、多くの人がこうしている。

足を入れてベルトを締める。

それだけ…。

しかし装具は、靴ではない。ただ履かせるだけでは意味がない。

装具の目的は、足関節の位置を整えることだからである。

3つのポイントを押さえよう

POINT1. 「かかと」を奥に押し込む

装具装着で最も重要なのは、「かかと」である。かかとが奥まで入っていないと、

・足が装具の中で動く
・足首の角度が変わる
・歩行が不安定になる

つまり、装具の効果が失われるのだ。

だから装具を装着するときは、先ずかかとを奥まで入れること

足首を前からつかんで奥まで押し込んであげよう。

POINT2. 足指をしっかり伸ばす

筋緊張が強い人が多いので、足指が曲がっていることがある。爪先を十分に引き伸ばしてあげよう。

POINT3. 膝を直角に曲げる

足首の緊張は、膝の角度に影響される。膝が伸びた状態では、ふくらはぎの筋肉が張ってしまっている。その状態では足首は曲がりにくいのだ。

しかし膝を曲げると、ふくらはぎの筋肉が緩む。すると足首は直角に近づく。

この姿勢で装具を入れると、装着は比較的スムーズに進む。

装具の装着順序

装具のベルトは、締める順番がある。

1.足首 → 2.つま先 → 3.ふくらはぎ
の順で締めていく。

なぜか。
足首を最初に固定しないと、かかとの位置が決まらないからである。

 

装具の装着方法

①マジックテープが服にくっつかないように、重ねておく。

 

②膝を曲げた姿勢で装具を装着する。

 

③先ずは足首のベルトから。

 

④足首を押さえ、かかとを奥の方に押し込む。ここが緩まないように注意。

 

⑤次につま先のベルトを締める。その際、つま先が曲がっていれば十分引き伸ばすこと。

 

⑥爪先を伸ばしながら、ベルトを締める。

 

⑦最後に一番上、ふくらはぎのベルトを締める。

 

ふくらはぎへの「圧」は想像以上!

装具を付ける目的の一つは「尖足の防止」である。

足先が下方向へピーンと伸びてしまうと、歩行する時に床に引っ掛かってしまうため、装具を付けて足首を直角に矯正する。

この時、装具にかかる圧は、下図のようになる。

青い矢印は尖足に伴う下方向への「力点」。「作用点」は赤い矢印ふくらはぎに掛かる。尖足が強いほど、ふくらはぎへの圧は高くなる。

施設などで下写真のように、「ズボンの上」「レッグウォーマーの上」「靴下の上」などから装着しているのを見かけたりする。下図のような「服がしわくちゃ」状態で装着しない事。

装具装着時の服のしわを取る

何事においても「あと一歩の配慮」が大切だ。無用な皮膚トラブルを防ぐため、必ず服の「しわ」を取ってから装着しよう。

まとめ

下肢装具の着脱は、ただの作業ではない。
そこには身体の仕組みがある。

・ひざを曲げる
・かかとを奥まで入れる
・足首を固定する

こうした小さな工夫で、装具の装着は大きく変わる。

逆に言えば、技術がない装着は、装具を無駄にする。

介護技術とは力ではない。意味を理解することである。

なぜ膝を曲げるのか。なぜかかとが大事なのか。

それが分かると介護は変わる。そして、利用者の歩き方も変わる。

 

理学療法士H
理学療法士。典型的なB型気質、一匹狼で徒党を組むのが大嫌い。他人の悩みや相談事を自分の事のように取り込んでしまい、体調が悪くなるのが欠点。趣味は、この世の人間関係の仕組みを解明すること。
当ホームページは、リハビリ脳を鍛えるためのサイトである。「リハビリ脳=日々の生活をリハビリ的視点で捉える事」と定義している。身体機能のリハビリのみならず、揺れ動く心のリハビリにも焦点を当てて考察している。
キネシオロジーと波動療法の専門店「こころのて整体院」を運営し、心と身体の癒しの場を提供している。
こころのて整体院
自立神経専門
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当院ではキネシオロジーを用いて無意識の影響を確認し、波動療法で身体の状態を整えながら、占術(九星気学×易経)などの助言を得ることで、これからの人生の選択についてもサポートしています。
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