【介護の骨7】ベッド上での移動介助|支点を外す介護技術

介護の現場で、
最も多い介助は何だろうか。

それは
ベッド上での移動介助
である。

しかしこの介助は
非常に疲れる…。

少し体の位置をずらす。
枕の位置を整える。
上方へ引き上げる。

こうした動作は、おむつ交換や更衣動作を含め
毎日のように行われている。

新人の職員さんは良く言う。
利用者さんが重い…と。

そこで今回は、3つの方法論をご紹介しよう。

人はなぜ動かないのか

ベッドに寝ている人を動かそうとするとき
多くの人はこうする。

シーツをつかみ
腕の力で引き上げる。

当然ながら重い。
腰が痛くなる。

しかしこれは当たり前である。

なぜなら
支点が外れていないからである。

身体には「支点」がある

人の身体には
・肩
・骨盤
・かかと

などベッドに接している部分がある。
この部分が「支点」になっている。

つまりどういうことか。

利用者を動かそうとしても
身体がベッドに固定されている
という事である。

だから動かない。

支点を外すと人は動く

逆に言えば、支点を外すと人は動く。

例えば骨盤。
骨盤がベッドに接していると
身体は動かない。

しかし骨盤を少し浮かせると、
身体は回転方向に力が働くようになる。

肩も同じである。
肩の支点が外れると
身体は自然に動き始める。

つまりベッド上の移動介助とは、
支点を外す技術なのである。

小さく動かす

もう一つ大切なことがある。
それは一度に動かそうとしない事である。

時間に追われた介護をしていると、
一気に引き上げようとする。
しかし身体はそんなに簡単には動かない。

そこで必要なのは
小さな回転である。

・少し傾ける
・少し回す
・少し移動する

これを繰り返すのだ。
すると結果として
大きな移動となる。

具体的に見てみよう

1.側方移動 |利用者の支点を外す方法

利用者が横向きになった時の「支点を外す」ことで、側方移動を行なう方法から。

①利用者は胸の前で手を組む。

②利用者の両足を移動する。

③右の骨盤を浮かせ、介助者の膝を差し込む。この時の骨盤回旋に伴い、利用者の左骨盤の下に介助者の右手が差し込まれることになる。

④介助者の右手を骨盤下から引き抜く事で支点を外す。

⑤同じように、利用者の右肩の下に介助者の膝を差し込む。この時の肩回旋に伴い、利用者の左肩の下に介助者の右手が差し込まれることになる。

⑥介助者の右手を肩下から引き抜く事で支点を外す。

2.上方移動 |介助者の肘を支点にする方法

介助者の両肘を支点に、少しずつ方向を変えることで上方移動を行なう。利用者を大きく揺らすことになるので、介助はゆっくり慎重に行なうよう配慮したい。

①介助者の両上肢を、利用者の「肩」と「骨盤」の下に差し込む。利用者は胸の前で手を組む。

②介助者は肘を曲げ、利用者を手前に引き寄せる。その際、やや頭側方向へ回転させる。

③次に介助者は肘を伸ばし、やや頭側方向へ回転させる。

④介助者は肘の位置を頭側へ移動させる。

⑤介助者は肘を曲げ、利用者を手前に引き寄せる。以上をゆっくりと繰り返して上方移動する。

3.上方移動 ~足を抱えて行なう方法~

利用者の足を抱えて、少しずつ方向を変えながら上方移動を行なう。この方法も、利用者を大きく揺らすことになるので、介助はゆっくり慎重に行なうよう配慮しよう。

①利用者の両足の下に、介助者の足を差し込む。利用者は胸の前で手を組む。

②肩と骨盤を把持し、利用者の体を傾ける。

③頭側方向へ回転させることで、上方移動させる。

④反対側の肩と骨盤を把持し、利用者の体を反対側へ傾ける。

⑤頭側方向へ回転させ、上方へ少しずつ移動介助する。ゆっくりと交互に繰り返して上方移動する。

介護技術の骨(コツ)

手順だけでは
人は動かない。

力だけでも
人は動かない。

人の身体の動きを理解したとき
介助は変わる。

そこに
介護技術の骨がある。

さて、ベッド上での寝返り動作について、
健側方向に寝返る意味を理解しよう。

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理学療法士H
理学療法士。典型的なB型気質、一匹狼で徒党を組むのが大嫌い。他人の悩みや相談事を自分の事のように取り込んでしまい、体調が悪くなるのが欠点。趣味は、この世の人間関係の仕組みを解明すること。
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