背中が大きく曲がった利用者様がいる。背骨が変形してしまった為、車椅子のバックレストに尖った部分が当たり、発赤を呈している。さらに、背中の安定性が悪く横倒れし易い状況だ。
今回はダイソー商品を使って、「横倒れ防止用の簡易クッション」を作ってみよう。
材料
・クッション(1枚100円)
→両サイドにウレタンを差し込むので、中の綿が「区分けされたタイプ」のものが良い。また紐が付いていると、椅子に縛る時に便利。
・ウレタンクッション(1枚150円)
→切断して、中のウレタンを使う。
・裁縫道具セット(1個100円)
作り方
①縫い目をカットする。
②次にウレタンクッションを3等分サイズで切断する。
③切断したウレタンを差し込む。
④高さは利用者に応じて決めよう。今回は2枚重ねとした。
⑤最後に縫い付けたら出来上がり。
使い方
椅子にヒモで縛って使用する。背骨の変形に沿ったカーブを描いているので、総額350円の品としては心地よい背当てになると思う。
横倒れ防止クッションの考え方
さて上記クッションを当てても、現実「横倒れの防止」はなかなか難しい。そこで、横倒れについてもう少し掘り下げて考えてみよう。
いつも左に傾いているSさんに対して、先ずは傾く原因を評価しなければならない。例えば骨盤の部位が影響を与えているのであれば、座面を調整すれば良いかも知れない。下肢の拘縮等によるものであれば、フットレストやレッグレストで調整が効くかもしれない。もしかしたら右臀部に痛みがあって、身体を左に傾けているのかも知れない…。原因は多岐に渡るのだ。
今回は単純に、一番簡単に調整できる「背当て」に焦点を当ててみよう。真っ先に思いつく方法は、下図のような「丸めたクッションを挟むこと」。
しかしSさんのように傾きが強い場合、アームレストを境にクッションが折れ曲がってしまい、身体を支えることが出来なくなってしまう。こんな姿勢、見た事があると思う。
さて作成するクッションの最大のポイントは…、それは「ヒモをつける事」(それだけかよ…!)。
お分かりの通り、両端のヒモ(特にクッションの対側にあるヒモ)をしっかりと縛り付けると、クッションが外側へ折れ曲がろうとする力を相殺してくれるのだ。
とても単純な発想で拍子抜けしたかと思うが、意外と見落としてしまう視点だと思う。
もう一つ作ってみよう
・クッション1枚(200円商品)
→ヒモが付いているものを選ぶ。
→ブロックに分けられているものを選ぶ。
・ビーズ円柱クッション1つ(200円商品)
・裁縫道具(100円商品)
作り方
①クッションの端に切り目を入れる。
②ブロックに分かれた端1/3の綿を抜く。
③ビーズクッションを差し込む。
④縫い付ける。
⑤出来上がり。
上記の通り、車椅子にヒモで縛って使おう。
追記! ~クッションが汚れた時の洗濯について~
汚れた時の対策で、ダイソーの「クッションカバー」を付けてみた。
①チャック付きのクッションカバーを購入(1枚100円)
②作成したクッションを差し込む。
③ヒモを出すための穴をあけ、ほつれないように補強する。
④これなら汚れても、カバーだけ洗濯が出来るだろう。
「背当ての調整」と同じくらい重要なのが、「座面の調整(アンカーサポート)」。お暇があれば、ご一読を。
また、車椅子上で頭が後ろへ倒れてしまう人に対しては、「車椅子用ヘッドレスト」が必要だ。