技術論

ずっこけ座りになる理由を考える ~ネジ巻きの法則~

投稿日:2016年11月29日 更新日:

 

車椅子に座っていると、どんどんお尻が前へ滑ってしまい、「ずっこけ座り」になっている人を見かけます。この座り方は、お尻や背中に剪断応力が加わり「褥瘡」の原因の一つとなります。その他、「関節変形」「疼痛」などを引き起こし、更には「転落」という最悪の事態も想定されます。

今回は、この「ずっこけ座り」になる理由について「ネジ巻きの法則」をご紹介します。ご一読ください。

 

 

 

ズリ落ちる理由

「お尻が滑ってズリ落ちてしまうんです。どうにかなりませんか…」。

 

ズリ落ちてくる原因は幾つかありますが、大きく分ければこの2つだと思います。

 

①自然にズリ落ちる
②自らズリ落ちる

 

「①自然にズリ落ちる」原因は、姿勢不良や座面の不安定性などが考えられますので、姿勢調整や座面調整を行ないます。限られた予算の中で、手作りクッション等で試行錯誤している施設様も沢山あるものと想像します。しかし、どんなに上手に調整しても、同じ姿勢で同じ所に圧が掛かり続ければ、痛みが生じると考えます。

 

試しに、以下の実験をしてみましょうか。

【実験】
5分間、椅子に座ってみましょう。お尻の位置を全く動かさずに…。

 

映画館や会議など長時間の座位を強いられる場面では、我々は無意識のうちに足を組んだり左右に体を動かして、の掛かる部分を分散させています。お尻を数センチでも動かすことが出来れば、臀部の痛みは大きく変化します。

足を組んでリラックスして座る

 

つまり「②自らズリ落ちようとする人」は、お尻の圧が掛かる場所を変化させようとしていると考えます。そこでポイントとなるのが「座り直し動作」です。筋力があれば、身体を動かして圧をコントロール出来るのでしょうが、お尻を動かせない「筋力の弱い人」は、果たしてどうやって改善させようとするのでしょうか。

 

 

身体を反らして背もたれを押す

 

 

上図を見てみましょう。実は、身体を反らして背もたれが押されると、その反作用で臀部が前に滑っていきます。筋力が弱くて座り直しが出来ない人は、このようにして臀部をコントロールすることがあります。「お尻をズッたら危ないでしょ。車椅子から落ちたらどうするの!」という声が聞かれますが、この動きは利用者自らがお尻の痛みを緩和する為に行なっている訳で、切実な訴えでもあるのです。方法論は間違っているかも知れませんが、「痛みを和らげたい」という目的に照らし合わせれば、必然性のある行為だと言えます。

 

 

ネジ巻きの法則

さて、この方法論には大きな欠陥があります。少しずつお尻を滑らせていくのですが、行きつく所まで来ると、そこから戻れなくなってしまうんです。慌てて職員が引き上げるのですが、これを私は「ネジ巻きの法則」と呼んでいます。ネジ巻きのオルゴールが鳴っているうちは、お尻を滑らせていく事が出来るのですが、座面の先端まで来たら行き止まり…。またネジを巻き戻す(座り直す)介助をしなければなりません。つまり本人様の動きは一方通行だという事ですね。

車椅子上、お尻がずっこけて助けを呼ぶ

 

 

ずり落ち防止クッション

当施設では、ずっこけ座りに対して「ずり落ち防止クッション」なるものを作成し、座面の前側を高くすることで対応しています(とても簡易的な方法でお恥ずかしいのですが...)。

しかしこのクッション、実は矛盾を感じながら使っているんです。どうしてかというと、利用者様は「お尻の圧を変化させようとしている」からズッてくる訳で、もしかしてその除圧動作阻害している事になるのかも知れないと。まぁお尻がズッていくのは、私のシーティング技術が未熟だからなので、決して大きなことは言えませんが…。

 

ちなみに、ダイソー商品を使って、このクッションを作っています。以下ご参照下さい。

 

この「ズリ落ち姿勢」を修正するための技術論は、以下の関連記事をご参照下さい。教科書で書かれた方法とは違った手技もご紹介しています。

 

ご精読ありがとうございました

 

 

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