老健の理学療法士が「介護とリハビリ」について考えます。

4コマ漫画で考えるリハビリ脳の作り方

技術論

ベッド移乗時に介助バーを使った方が良い理由 ~頭とお尻の方向性を考える~

投稿日:2016年11月29日 更新日:

今回は、「介助バーを使ったほうが良い理由」を考えてみましょう。平成12年の介護保険レンタル制度導入以来、在宅での介助バー普及率は格段に高まっているのですが、こと施設サービスにおいては、予算の都合で介助バーを揃えられない所もあるようです。しかし以下にご説明する理由から、なるべく購入することをお勧め致します(別に業者の回し者ではありません…)。それではご一読下さい。

 


 

■介助バーとは
ベッド柵に付いているL字型の柵は、「介助バー」と呼ばれています。その他「L字バー」「L字柵」などと呼ばれることもあるようですね。車椅子とベッド間で乗り移りする際に、手すり代わりとして使用します。

乗り移り時に移動バーを使う

 

 

■事例検討
Aさんが、ベッドへ移乗しようとしています。介助バーは付いていないので、ベッド柵をつかんで立つところです。さて、どのようなリスクが生まれるのか想像してみましょう。

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■リスクを探す
ブレーキは掛けてあるのか、靴はちゃんと履いているのか、座り損ねてずり落ちるんじゃないか、など様々なリスクが想像出来たかと思います。見るからに身体が固そうで、体幹をねじる動作が困難な様子が伺えます。また立ち上がりも、つかまって何とか立てる程度で、方向転換時の足のステップ動作は困難かも知れません。

 

 

■お尻が離れていく
移乗動作には、体幹の回旋運動を必要とします。つまり身体をねじらないとうまく座れません。Aさんは左手を柵に置き、右手は車椅子のアームレストを把持しています。この状況で移ろうとすると、はベッド方向へ向かうのですが、逆にお尻はベッドから離れていくんですね。本当はお尻をベッド方向へ運びたいのですが、頭がベッドへ近づけば近づくほど、お尻はベッドから離れていくという矛盾を生じます。

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するとどうするか。無理に身体をねじって、お尻をベッドに乗せようとしますが、お尻が届かずにずり落ちるというリスクを生むことになるのです。

移乗時にお尻が届かずずり落ちる 207

 

 

■足がねじれたまま座ろうとすると…
驚くべきことに、転倒転落を防げたとしても、足がねじれたままでベッドに座ろうとすると、骨折を引き起こす可能性があるんです。「老人介護の個人的ホームページ」の作者である大渕氏によると、移乗時の「足のねじれ」に伴い、下記の部位で骨折を引き起こす可能性があると警笛を鳴らしています。
209 210
(引用;http://homepage3.nifty.com/MYKAIGO)

208

 

 

■言われてみれば…
図の位置に椅子を置きました。すると頭はベッドから離れ、逆にお尻はベッドへと近づいていきます。ごく当たり前のことなのですが、案外このような発想が抜け落ちることがあるんです。ここに椅子があれば、身体や足の「ねじれ」は最小限で済みそうですね。つまりこの位置に介助バーが来れば良い訳です。

211 移乗時に頭と反対側にお尻が動く

 

 

■介助バーを使いましょう
介助バーが今ほど普及していなかった頃は、ベッド横に椅子をくくりつけて対応した時代もありました。介護保険レンタルが可能となってからは、爆発的に導入されてきた印象があります。しかし、ただ単に介助バーを手すり代わりとして考えるのではなく、その場所に介助バーがあると、動作がどう変わるのかを吟味すること。するとその先に、新しい介助方法を発見出来るのかも知れませんね。

214

 

ご精読ありがとうございました


 

利用者のための、最適な介助方法を見つけるためには、今までの介護の「常識」を疑う事から始めなければなりません。教科書に書かれている介護の常識について、違った角度から考察した「常識を疑えシリーズ」をご一読下さい。

 

移乗介助には、様々なテクニックが存在します。「吊る介助から乗せる介助へ 」というテーマで、違った切り口での介助方法を紹介しています。ご一読下さい。

 
 


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